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  • 執筆者の写真おだぽひ

オラムNO.16『生きてる軌跡は生きてる奇跡』

更新日:2020年5月22日


どうも。 愉快、痛快、エブリデイ! 桂南光でおま! 織田です。 ホームページの更新をしようとポチポチしていたら、今まで使っていたブログツールが古くなっていて、新しいブログツールが出来ていたから、それに移行したら、閲覧者数が出た。 前の奴も出る使用に出来たが、怖くてやらなかったが、新しいやつは勝手に出やがった。 すると、ゲロを吐くくらい少ない閲覧者数だった。 予想はしていたが、実際の数字を見ると少し凹む。 でも、一人とかゼロではなく、二桁はいる。 私はその人達を全力で愛する。 まぁ頻繁に更新してないし、中身は長いし、仕方ないが。 これを見ているそこの貴方!! たまにでいいから、周りにも是非進めてくれよな。 読んだら、 無くしてた靴下の片方が出てきたとか お通じが改善されたとか 好きだったあの人と結ばれたとか ない事ない事を言いまわって下さい。責任は一切取りません!! ね。 さて。 あまり趣味がない私ですが、少ない趣味の中にキャンプというのがある。先輩二人とキャンプ部なるものを作り、大人なひっそり静かなキャンプをする部だ。 年に数回しか行けてないが、徐々にグレードやハードルをあげていっている。 そして、先日、遂に 『山登り過酷キャンプ』 を決行した。必要最低限の物を担いで山を登り、山の頂上付近でキャンプ。そして朝日を拝んで下山するという至ってシンプルなキャンプだ。 挑む山は・・・ 関東最高峰の『雲取山』 詳しくはオッケーグーグルしてください。 標高は2017メートル。日本名山百選の一つだそうです。 2000メートルってことは2キロですね。2キロ。 2キロつうのがどれくらいかっていうと 大体、新宿から原宿行って、ウインドウショッピングしてるくらいかな。 アルタ前に集合して、タピオカ飲みながら歩いてたらすぐですわ。 後、2キロっつたら、水のペットボトルとかも2キロ。 あんなもんすぐですわ(何がだ) そんな山に登山キャンプ初挑戦で登りました。メンバーの一人がそこで登山キャンプしたこともあるので、装備を聞きつつ、揃えていく。 もう一人は、日帰りで登山だけしたことがある。 こんな心強いメンバーと一緒にいくのだから、ついて行けさえすれば大丈夫だ。ちゃんとした登山道らしいし、迷う事もないと聞いていた。 そう、私は油断していた。 ついていけさえすれば大丈夫だと。迷うとかありえないと。 当日。 お天気は晴れだ。電車とバスに長時間揺られ、登山口に着いた。 雲取山にはいくつかの登山ルートがあり、有名なのは秩父側からのルートと奥多摩側からのルート。 今回は秩父側から登り、奥多摩側に下山するルート。 最終ゴールは奥多摩。 奥多摩 奥多摩だ 私の心には深くそれが刻みこまれた。 今回は3人で登るから、荷物を分担して運んだ。私は寝床となるテントを運ぶ係。 他の二人は食料だ。 なので、私の荷物は行きも帰りも変わらない重さ。 ベルタースオリジナルと同じな(甘い飴ちゃん) 後はダイソンも変わらない(吸引力) それに、ナイフ、ランプ詰め込んで、母さんがくれた(以下割愛)を背負って登山スタート。 この時はまだ、あんな事が起きると思っていなかったから間抜けな顔である。 初めて重い荷物を持ちながらの登山はなかなかキツイものがあった。 登山道といっても整備されている所もあれば、自然が創り出した道もある。 中々な急斜面を登る部分もあった。 加えて用意が間に合わず、靴がスニーカーという事もあり足にダメージも来る。 が、仲間は二人いるので トローリー!! と声を出しながら少しずつ進む。一番若いのもあって先陣を切って進む。 一人ではきついが、誰かと話しながら登ると和らぐものである。 こまめに休憩を取りつつ一歩一歩進んでいく。 野生の鹿にも出くわした。いや、山からすると、鹿が人間に出くわしたという方が正しいだろう。 途中、凍結している道に出くわした。 そんな急斜面ではなかったから、行けるだろうと踏んで、登る。 滑る。 慌てて近くにあった木につかまる。 滑る。 そしてコケる。 こらあきませんで!! と仲間に告げる。 これも先頭の役目だ。危険には先陣をきって飛び込むのだ。ケツが例え二つに割れようともだ。 凍結装備をして進む。 岩山みたいな所を登ったりしながら、徐々に近づいていく。 登山道には看板や、目的地までの距離が示されていたりするので迷うことはない。 アタック開始してから約6時間。 遂に頂上付近のキャンプ小屋に到着した。 雲取山小屋だ。朝の10時くらいにアタック開始して、夕方の16時に到着。 確か標高は1700メートルくらいだった気がする。 着いた時は何とも言えない安心感に包まれた。 登ってる最中、距離の看板が出てくるが、40分かけて登っても距離としては200メートルくらいしか進んでなかったりする。 当然だ。直線距離だと200メートルだが、登りながら進んでるわけだから、前には大して進んでない。 太ももパンパン、肩パンパン、弟子やったらパンパン(巨人師匠) で上がっていって必死に進んでも、距離にしたら50メートルくらいだ。 誰だ、タピオカ飲んでりゃすぐって言った奴は。ぶっ飛ばしてやる。 そんなこんなで、テントを張り、キャンプ開始。 焚火は当然無理なので、持ってきたバーナー等で、料理をする。 登山途中も簡単な食事はとっていたが、すぐにカロリーは消費し、お腹はペコペコだった。 先ずは焼いただけのウインナー。ただ、フライパンで焼いただけの普通に売ってるウインナーが、極上の肉に感じる。 パリッとした歯ごたえが、今から食べるという感覚を刺激し、溢れ出る肉汁は、飢えた胃袋を潤す。そして、プリプリの肉。噛むたびに、生きているという事を実感せざるを得ない美味しさだ。飲み込んだ時の喉は明らかに生を吸収しようとしている感じだ。 これでお値段398円!! ちょっと待ってください!! 今なら、袋麺もお付けします! ツルっとした喉越しは、噛むことを忘れるくらいの勢いで吸い込まれ、温かいスープは、口から喉へ、そして胃へと温もりを与えてくれる。さながら生まれる前にいた母のお腹の中を想起させるようだ。 これで、お値段なんと・・・ ちょっと待ってください!! さらに、キーマカレーもつけます。 スパイスが、五感全てを幸せへと誘ってくれ、口にお米と一緒にいれる度に、辛さとお米の甘さで無限に噛んでいられる。そして噛んでる内に知らずとまた次を口に運んでいる。胃に入った瞬間、血液から栄養が流れて、 オツカレー と言ってくる。 それでお値段一人500円!! 安い!! 夜間です。お掛け間違いないようにお願いします。 夜間です。お掛け間違えないようにお願いします。 とテレフォンショッピングしてしまいそうにはなってません。 実際は 美味ぇぇぇぇぇぇ! しか言ってないです。しかし本当にこれくらいの描写も嘘ではない位美味しかった。 これは登山をした人間にしか分からない味だろう。 そして、星を見つつ、人生を語らい、男三人が小さなテントに入り、夜の10時には就寝。 夜がこんなに美しく感じたのは初めてかもしれない。 登山キャンプ初日は山の厳しさを感じつつも登山の達成感と生きている実感を感じた楽しい一日だった。 ここまでなら、コラムにも書かない。 そう問題は二日目に起こった。 二日目 朝6時に起床。コーヒーを飲みながら、朝日を拝み、朝食を食べ、片付け。 下山ルートに午前8時頃アタック開始。 雲取山山頂まで登り、そこから下山する。 が、ここで、アタック開始前に問題が起きた。 一緒にいっていた一人が前日から膝に少し痛みを感じていた。二日目もそれが残っていた。山頂までは残り300メートルくらいだが、そこまでの道は登る前にも分かるくらい険しい道が見えていた。しかも地面は凍結している。 今回は山頂は諦め、迂回ルートでいきましょう と言うと 織田は山頂に行ったことないし、元気だから行ってこいよ と言われる。 ふむ。 確かにここまで来たら、山頂にはいきたい。 私の中で欲望が湧く。 単独行動になるが、それも少しの間だけだし、ルートの看板が出ているのは登りで分かっている。迷う事はない。仲間も心配だったが、付き添いに一人いるし、その人は元気だし、何より二人とも経験者だ。 分かりました!二人の分まで山頂を味わってきます! 私は笑顔でそう伝えた。 合流地点は奥多摩小屋ね。織田のルートの方が20分くらいかかるから待ってるよ。 なら安心ですね。奥多摩ですね!はい、トローリー!! という感じで別れを告げ、別々の行動をとった。 雲取山未経験者独りと経験者二人のチームに分かれ。 もうすでにここでおかしいのだが、誰も気づかない。 そして、また深く私の中に奥多摩の言葉が刻み込まれた。 私の孤独な旅が始まった。 山頂までのルートは凍結もあり、今までにはない険しさだった。これは元気な私でもキツイ。木や張ってあるロープにしがみつきながら、一歩一歩ゆっくり進む。周りには仲間がいないから、私の呼吸音だけが聞こえる。 道や身体と対話しながら目指す。 そうして、登る事40分。 山頂に着いた。 山頂に着いた時の達成感は昨日のキャンプ場に着いた時の非ではなかった。登り続けていた山の頂に自分がいる。今まで木々に囲まれていたのに、山頂は急にひらけており、周りの山々が低い位置にあり、まるで自分が今世界で一番高い場所にいる錯覚すら覚える。 雄たけびをあげ、空を見上げ、いつもより雲が近いことに身体で受け止める。 私は登りきったんだ。 恐らく20分くらい山頂を楽しむ。 いかんいかん。私の方が時間がかかるのに、ゆっくりはしていられないぞ。 合流地点へ急がなければ。 下山ルートを探す。山頂からの下山ルートは二つあった。が、行っては駄目な方向は聞いていたので、少し探して、正しい道を見つけ、急いで下山開始。 基本的に尾根を下っていくので、比較的歩きやすく、道の見通しもよいので、ペースを上げる。 振り返って思うが、中々のハイペースだったと思う。 そうこうしていると、看板が現れた。その看板は、迂回ルートと山頂ルートの合流地点だった。 私は一瞬、止まって、待とうとしたが いや、私の方が早いはずはないから待っても仕方がない。目指すべきは奥多摩小屋だ。 と先を急ぐ。 しばらく行くと、途中で、ボロボロの小屋を見つけた。 これが奥多摩小屋か? 周りを見るが看板はない。小屋は廃墟みたいになっている。こんな場所で待ち合わせなわけがない。それに先に着いてるはずの二人がいない。 ここではない。先へ急ぐ。 下山ルートは、途中、七ツ石山を越えなければならない。なので、下山してるのに登山しなくればならない箇所が出てくる。下山で響いたダメージに登りはきつかった。しかも独りなので励ましてくれる相手はいない。 私は、持ってきたウォークマンでランダムに音楽を流す。 流れてきたのはイースタンユースの『ソンゲントジユウ』 どう転んだって俺は俺 と叫び歌い励ましてくれるが、転んではマズい。曲を変える。 流れたのはシガーロス。切ないメロディーが孤独に刺さる。 いかん、立ち止まって、寂しさに泣き崩れそうだ。 HIPHOPを流す。うむ。いいビートだ。歩くスピードを上げる。 七ツ石山山頂へ到着。が、雲取山頂に比べると、何の感動もない。ただただ、疲労感だけがある。少し、休憩をしてまた下る。 すると、七ツ石小屋の看板が見えた。 奥多摩小屋とは七ツ石小屋の別名かもしれない。 私はそう思った。それに、小屋は稼働していて、休憩所にもなってる。 二人はもうとっくに待ってるだろうな そう思い、小屋に立ち寄った。が、そこには誰もいなかった。おかしい。私は携帯を出した。なんとか電波が入っている。電話をかけると奇跡的に繋がった。 「もしもし。今どこですか?」 「今ね、奥多摩小屋に着いたんだ」 「奥多摩小屋ってどこですか?七ツ石小屋より先ですか?」 「いやいや、もっと手前よ。あれ?どこ?」 「今、七ツ石小屋にいます。まさか僕の方が早かったんですか?」 「そうね。大分先にいるね。そこまでになんか廃墟の小屋なかった?」 「あ、ありました!でも、こんな小屋ではないと思って、二人もいなかったから通り過ぎました!」 「そこが奥多摩小屋なんだよ。そっか。ちゃんと伝えてなかったな。どうする?多分そこに行くまでに1時間はかかると思うわ。待ってる?先に行ってもいいよ。一本道だから迷う事もないと思うし。普通に下山したら、織田なら2時間くらいで到着すると思うよ。」 私は迷った。独りは心細い。道もあまり分からない。現に合流に失敗している。が、風がきつくなってきて、少し寒い。ここで一時間も待てる自信もない。後、2時間でゴールか。 ・・・・・ 「風がきつくて、大分寒いので、先に降ります。」 この決断が私の地獄行を確定させた瞬間だった。 しかし、この時はそんなことになるとは思っていないので、調子に乗って 「早く着きすぎたら先に奥多摩にある温泉に入ってますわ!すんまへんな!」 とほざいて、電話を切った。 さて、ここから私の考えを綴っている部分は全て間違いだという前提の元、読んでいただきたい。 電話を切り、下山ルートを探す。近くに下るルートがあった。がそこには 鴨沢方面 と書いてあった。 鴨沢?私が行きたいのは奥多摩方面だ。こんな良く分からない所にむかったら駄目だ。 小屋の人に奥多摩方面はどこか聞く。 小屋の人は 「奥多摩?奥多摩はこの小屋の上にあった分岐点に書いてあるからそっちだけど?」 と不思議そうに答えた。 なるほど。下山するのに何でこの小屋によったのか不思議がってるんだな。すまねぇな。初めてだから、少し間違えちまったんだよ。 私は下る道を背に、来た道を戻った。少し戻ると、 鷹ノ巣山・奥多摩方面 の看板が出ている。 奥多摩だ。間違いない。 私は歩き始めた。 登りは山の中を登っていたのもあり、道は険しいが風景は楽しく、途中なんか鹿が現れたりした。 が、この奥多摩へ向かうルートは尾根を歩くので、あまり風景が変わらない。歩きやすいが退屈だ。 しかも独りだ。私はHIPHOPのご機嫌なビートと奥多摩へ向かう気持ちだけで前へ進んだ。 40分ほど進むと、急に登り始めてきた。どうやら、鷹ノ巣山を越えなければ、奥多摩にはいけないようだ。 まるで俺の人生のようじゃないか と疲労で全く意味が分からない言葉を吐きながら、登る。 山頂へ到着。 これで、雲取山、七ッ石山、鷹ノ巣山と三つの山を登った事になる。 が、鷹ノ巣山に至っては これくらいの高さで山を名乗ってんじゃねぇ! と悪態を吐く程だ。 この時点で七ッ石小屋から一時間経っている。 後、一時間で着くのか? 私の頭に不安がよぎる。しかし、歩みを止めるわけにはいけない。 看板が現れるが奥多摩の文字はない。が道は続いている。ひたすら尾根を進む。すると前方に山のふもとと思われる部分に駐車場みたいなものを発見。 おぉ!あれがゴールだきっと! ゴールが見えると気持ちが楽になる。速度を上げる。 と新たな登りが現れた。近くの看板を見ると『六つ石山山頂』と『迂回ルート』の二つ。 また山を越えるのか?ふざけるな。私は降りたいって言ってるだろ! 迷わず迂回ルートを選択。頂上へ上がるのではなく、山の中腹をぐるりと歩き、山の反対側に出るルートだ。遠回りだが仕方ない。 尾根ではない少し細い道を歩き続ける。40分ほど歩いたら、山を抜けた。 安心して周りを見渡すと、先ほど前方に見えていた駐車場らしきものは、右手に見えていた。 通りすぎちゃってんじゃんよ!! 私はあそこに行くつもりなのに! でも道は続いてる。・・・あれは違う何かだな。そう思う事にして自分を正当化させる。 この辺りから、道を間違えている可能性が頭によぎり続けるが、己を肯定することで、それを払拭する。 私は間違ってない。奥多摩なんだ。奥多摩へ行くんだ。 再び歩き始める。時間は七ツ石小屋を出発して3時間経つ。下山アタックしてからは5時間が経過している。 不安を払拭しながら歩き続けると、また分岐点の看板が現れた。 尾根道を経て奥多摩 林道を経て奥多摩 遂に現れた奥多摩の文字。私は歓喜した。ゴールは近い。 さて、問題はどちらを行くか。 正直変わらない風景の尾根道には飽き飽きしていた。それに日差しが強い。水も底をつきかけている。 林道の方を見ると、涼しそうだった。 よし、林道を経よう。 私は林道コースへと歩み始めた。 道は細いものの、風景は変わり、涼しい。これは正解だなと思い、歩く。 が途中で、林道が途切れる。 経れない。 引き返すか? 辺りを見回す。すると、すこし下に道らしきものが見えた。方角的には間違いないだろうと、何を基準にした確信か分からないが、それを目指し、道なき林道を半ば強引に滑り降りる。 昔、測量のバイトをしていたことがあり、よく道なき山を滑り落ちながら進む事をしていたので安全に合流する。 再び歩く。永遠にも続くのではないかという林道をまた進む。楽しかった林道もまた変わらない風景で地獄と化す。しかも木々に囲まれているので、先が全く読めない。 歩く事一時間半。もうすでに当初の2時間はゆうに超えている。 がついにアスファルトみたいなものが目に入る。 やった!ゴールだ! 私は疲労で震える足の振動すら利用して、スピードを上げる! 漸く着いたぞ! 降り立った場所は全くよく分からない建物がポツンとある場所だった。 看板が立っていたので見ると 『東京農大演習林』 と書かれた看板。そして、地図には奥多摩がまだ先に書かれていた。 ここで私は漸く自分の過ちを認める事にした。 やっぱり完璧に道間違えてんな と。正直に言うと、六ツ石山辺りで思ってはいた(遅すぎる) 携帯を見る。電波が入っている。私は再び電話をかけた。 「もしもし」 「織田?今どこにいるの?俺らもう麓に着いてるよ?」 「そうですか・・・。多分道を間違えてしまいました。でも奥多摩に行くんですよね?」 「いや、もう七ツ石小よ屋も奥多摩だから。奥多摩広いから。それに奥多摩駅にはふもとからバスで帰るのよ。」 「え?てっきりふもとが奥多摩駅だと思ってました。なので、七ツ石小屋で少し上に登って奥多摩方面に」 「なんで下るのに上がるの」 「・・・・。なんでなんすかね。」 「とりあえず位置情報教えて。」 「分かりました。」 位置情報を調べ、送る。 そして、向こうの位置情報も送られてくる。 見ると、七ツ石小屋から真下の位置にいる。 鴨沢方面だった。 圧倒的間違え!笑止!! メッセージが届く。 「多分、そこから奥多摩駅には1時間くらいで着く距離だから、そのまま進んで、奥多摩駅で合流しよう。こちらはバスで向かうから多分丁度くらいになるはず。」 どうやら私は、普通は下山して、バスで奥多摩駅駅に行くのを、山々を越えて自力で奥多摩駅へ行くルートを選んでしまっていたようだ。 奥多摩=奥多摩駅 とどこかの時点で変換されてしまったのだろう。 嘆いていても仕方ない。私は間違えてしまった事実と疲労で鉛のようになっている重い足を再び動かした。 再び林道地獄。ジグザグに下っていく。途中で看板が出る。奥多摩駅と記されている。 間違っているけど、間違ってはいない。 足を進める。 すると、よく分からない小さなダム跡のようなものにぶつかる。 道はダムを挟んで反対側にあって、続いている。 が、向こう側に渡る道がない。そのダムは枯れ果てて、下に降りれれば、向こう側に登る事は出来そうだ。私は、岩道を這いつくばりながら降り、太い剥き出しの木の根っこによじ登って向こう岸に渡った。 渡った先に看板があり、道の先を示す『奥多摩駅』の文字が出ていた。 これはもう林道ではない。臨道だ。臨む道だ。奥多摩へ続けばいいなぁと誰かが淡い希望がかすかに道のようなものを形成しているだけで、道ではない。 そして、それに臨む、挑むものを試しているんだ。 キチガイじみた謎の考えが現れる。 カラカラの喉で振り絞ってまた歩く。もう絞れるものもない。 下山アタックを開始して、6時間がたった時、無限林道に終わりが来た。確実に道路になっているアスファルトが目に入った。 やったぞ!遂に着いたんだ! デヤァァァァァ! 道路脇の変な場所から、道路に出た。 山の道路とかで、たまに見る誰が行くのかよく分からない山の中に続く小道から出た。 これはここ何年で、私しか使わなかった道じゃないか? というくらいの感じ。RPGでいうと隠し通路クラス。ゼルダの伝説なら確実に伝説の武器がある道だ。だが、 一応銃撃にでもあったんか? という感じのボロボロの看板には『六ツ石山登山道』と書いてあった。 そんな所から無事降りてきたことに少し恐怖を覚える。よく迷わなかったなと。 ここからは舗装された道だ。電波も入る。 オッケーグーグル、奥多摩駅。 MAPを見るとすぐそこだった。漸くゴールだ。舗装された道を歩き、街へ向かう。 途中道の脇に綺麗な沢のようなものがあり、水を汲み、最後の英気を養う。 徐々に街が近づいてくる。ぽつぽつ家も出始めた。 途中、バイクに乗った郵便局員とすれ違う。 すれ違いざまに目が合う。 向こうは完全に なんであんなデカい荷物背負って、向こうから来たんだ? という目だった。 そこから、すれ違う車や人全てに、 なんであんなデカい荷物背負って、向こうから来たんだ? という感じで見られる。 恥ずかしながら帰って参りました! 横井さんの気持ちだ。 そして、街中に入っていき、奥多摩駅へと到着した。 下山アタックしてから6時間半が経っていた。当初は4時間で降りる予定が倍近くかかった。 奥多摩駅に着いたが、仲間はいなかった。私はまた間違えたのかと奥多摩駅をウロウロしていると連絡が入り、もう着くとの知らせが。 待合室で待つこと20分。遂に合流。 行くはずだったふもとから奥多摩駅まではバスで40分くらい。バス賃は600円程。 私は4時間ほどかけて、600円のバス賃を浮かす事になった訳だ。 こうして私の初めての『過酷登山キャンプ』は幕を閉じた。 初日の感動は最早薄れ、地獄だった下山ルートの疲労でもう暫くは行きたくないと宣言したのであった。 振り返って書くとなかなかな体験をしたなと思う。正直、遭難してもおかしくない状況だった。 が、生きて帰ってこれたし、改めて日常の生を感じる日々だ。 こうやって、生きているだけでも奇跡なのかもしれない。今の世の中は、恐ろしくも死や崩壊の危機に直面している。 日々、人々の心は荒んでいくし、不安や不満が爆発している。 が、道を間違えても、道を失なわずに自分をしっかり持っていればいずれゴールはやってくる。 気持ちだけは明るく楽しく、感謝していくのがいいのだ。それを教えてくれたのが今回のキャンプだった。 すんごいポジティブな纏め方!! ただ、私の準備不足と勘違いの話なのに! ね。 まぁ、頑張って生きて歩いていこうぜ。 ではまた。

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